営業の進め方·公開 2026年10月3日·FUKULO(合同会社商陣)

営業のヒアリングシート|入れる項目と聞く順番、記入例と商談後の共有まで

営業のヒアリングシートは、商談で聞くことを順番に並べた1枚の紙です。現状と課題を先に聞き、予算や決裁者はそのあとに確かめ、最後に「次に何をするか」を書いて終えると、聞き漏れが減り、担当が替わっても話がつながります。この記事では項目・聞く順番・記入例と、商談のあとの使い方までをまとめました。

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目次
  1. ヒアリングシートとは|営業で使う目的
  2. ヒアリングシートの種類|事前・商談・案件の3つ
  3. ヒアリングシートに入れる項目|営業用の基本
  4. ヒアリングシートで聞く順番|現状から入り、次の約束で終える
  5. ヒアリングシートの記入例|無料のExcelテンプレート
  6. ヒアリングシートを使うときのコツ
  7. ヒアリングシートの内容で資料を送ったあとに
  8. ヒアリングシートのよくある質問
  9. ヒアリングシートのまとめ

ヒアリングシートは、商談の場で相手に聞くことをあらかじめ一覧にしておく書類です。一般には、営業担当が手元に置いて聞きながら書き込むメモとして使う会社が多く、Excelや紙で作るか、営業支援のシステムの入力画面をそのまま使う形がよく見られます。

この記事では、営業で使うヒアリングシートに絞って、入れる項目、聞く順番、記入例、商談のあとの共有までを順に説明します。自社のシートと見比べて、足りないところがあれば足す、という使い方をしてください。

ヒアリングシートとは|営業で使う目的

ヒアリングシートとは、顧客の状況・課題・条件を聞き取るための質問の一覧です。営業のほか、Web制作やシステム開発の要件の聞き取り、採用面接などでも同じ名前で呼ばれますが、ここでは営業の商談で使うものを指します。

営業のヒアリングシートを使う目的は、大きく3つあります。

  • 聞き漏れを防ぐ。予算や導入時期など、聞き忘れると提案がずれる項目を毎回確かめられる
  • 担当者による差をそろえる。ベテランが頭の中でやっている聞き方を、新人も同じ順番でなぞれる
  • 情報を残して共有する。上司やチーム、後任の担当者が、商談の中身を同じ形で読める

ポイントは、ヒアリングシートは相手を問い詰めるための台本ではなく、相手の話を整理して受け止めるための枠だということです。項目を上から読み上げるより、話の流れに合わせて埋まったところに書き込み、最後に空いている欄を確かめる使い方のほうが、商談の雰囲気も崩れにくくなります。

ヒアリングシートの種類|事前・商談・案件の3つ

ヒアリングシートは、使う場面によって大きく3つに分けて考えると整理しやすくなります。会社によってはこれを1枚にまとめていることもあり、どちらが正しいということはありません。

種類使う場面主な項目
事前ヒアリングシート商談の前に、相手に記入してもらう会社の基本情報・相談したいこと・希望の時期
商談用ヒアリングシート商談の場で、営業が聞きながら書く現状・課題・BANT・競合・次の約束
案件ヒアリングシート受注後や見積の前に、条件を詰める数量・仕様・納期・設置場所・支払条件

事前ヒアリングシートは、問い合わせフォームやメールで送って記入してもらう形が一般的です。相手の手間になるので、項目は5〜8問程度に絞るのが無難です。商談用ヒアリングシートは営業の手元のメモなので、見込みの判断など相手に見せない欄を含めてかまいません。

この記事で中心に扱うのは、2つ目の商談用ヒアリングシートです。初回の商談で使い、そこで分かったことをもとに提案書や見積書を作る、という流れの起点になる1枚です。

ヒアリングシートに入れる項目|営業用の基本

ヒアリングシートの項目は、商材や業種で変わりますが、営業用ならおおむね次の5つの塊に分けられます。自社のシートにこの5つが入っているかを、まず見比べてみてください。

1. 基本情報

会社名・部署・担当者名・連絡先・業種と規模・商談日・自社の担当者です。顧客管理表と同じ書き方にそろえておくと、あとで転記するときに迷いません。メールアドレスは、資料を送る相手を間違えないためにも、担当者ごとに書いておきます。

2. 現状と課題

今どのようにしているか、何に困っているか、どうなれば理想か、の3つです。ここは相手の言葉をそのまま書くのがコツです。「最新の図面がどれか分からないと現場から言われる」のような生の言葉は、提案書の課題のページにそのまま使えます。

3. BANT(予算・決裁者・必要性・導入時期)

BANTは、受注の見込みを判断するときによく使われる4つの項目の頭文字です。

項目英語聞きたいこと
予算Budget予算の枠はあるか、いくらくらいか、いつ確定するか
決裁者Authority誰が最終的に決めるか、決め方(稟議・会議)はどうか
必要性Needなぜ今それが必要か、やらないと何が困るか
導入時期Timeframeいつまでに使い始めたいか、その理由は何か

4つすべてを初回で聞き切る必要はありません。分からなかった項目は「未確認」と書いておき、次の商談で聞きます。空欄のまま残すより、未確認と書いておくほうが、次に何を聞けばよいかがはっきりします。

4. 競合・比較

他社と比べているか、何と比べているかです。比べている相手は同業の他社とは限らず、「今のやり方のまま続ける」「社内で作る」が比較の相手になっていることもよくあります。

5. 次の約束

次に何を、いつまでに、誰がするか、と次回の商談の予定です。ヒアリングシートのなかで、ここがいちばん大事な欄です。次の約束が空欄のまま終わった商談は、そのまま止まりやすくなります。

ヒアリングシートで聞く順番|現状から入り、次の約束で終える

ヒアリングシートの項目は、並べる順番がそのまま聞く順番になります。一般には、相手が話しやすいことから聞き、お金や決裁のように踏み込んだ話はあとに回す順番がよく使われます。

  1. 基本情報を確かめる事前に分かることは商談の前に埋めておく
  2. 現状を聞く今どうしているか。相手が答えやすい事実から入る
  3. 課題と理想を聞く何に困っていて、どうなればよいか。相手の言葉のまま書く
  4. BANTを確かめる予算・決裁者・必要性・導入時期。分からなければ「未確認」
  5. 競合を聞く何と比べているか。今のやり方を続ける案も含める
  6. 次の約束を決める何を・いつまでに・誰がするかを、その場で決めて書く
図:営業のヒアリングシートで聞く順番(初回の商談の場合)

この順番にする理由は、課題が見えてから予算の話をしたほうが、相手も答えやすいからです。初対面でいきなり「ご予算はいくらですか」と聞くと身構えられますが、「その課題を解決するとしたら、どのくらいの規模で考えていらっしゃいますか」と課題の流れで聞けば、自然な質問になります。

もちろん、相手が最初に「予算はこのくらいで、来月までに決めたい」と話し始めることもあります。その場合は順番にこだわらず、話に出たところから埋めていけば大丈夫です。順番はあくまで、話が止まったときに次に何を聞くかの目安です。

2回目以降の商談での聞き方

2回目以降の商談では、前回のヒアリングシートを見返して、「未確認」の欄と、前回から変わったことを中心に聞きます。前回聞いた現状や課題をもう一度最初から聞くと、相手は「前に話したのに」と感じることがあります。「前回、導入は1月からとうかがいましたが、その後お変わりはありませんか」のように、前回の内容を確かめる形で聞くと、話を覚えていることも伝わります。

課題を深く聞く質問の型(SPIN)

課題の聞き方で迷うときは、SPINという質問の型が参考になります。SPINは、状況・問題・示唆・解決の4種類の質問を順に使う考え方です。

  • 状況質問(Situation):今どのようにしているかを聞く
  • 問題質問(Problem):そのやり方で困っていることを聞く
  • 示唆質問(Implication):その問題をそのままにすると、どんな影響が出るかを聞く
  • 解決質問(Need-payoff):問題が解決したら、どんなよいことがあるかを聞く

ヒアリングシートの「現状」「課題」「理想」の欄は、この4つの質問で埋まる形になっています。特に示唆質問は、相手自身が課題の大きさに気づくきっかけになるので、BANTの「必要性」を確かめるときにも役立ちます。

ヒアリングシートの記入例|無料のExcelテンプレート

ヒアリングシートの記入例を、実際のExcelの画面で見てみます。下は、株式会社サンプル商事の営業 田中 太郎さんが、株式会社山田製作所の購買部 山田 一郎さんと初回の商談をしたときの記入例です。

営業ヒアリングシート(無料Excel)記入用・記入例・説明の3シート
営業ヒアリングシート
1. 基本情報
会社名株式会社山田製作所商談日2026年10月2日
部署・担当者購買部 山田 一郎 様連絡先yamada@yamada-ss.example
業種・規模金属加工・従業員約120名自社の担当田中 太郎
2. 現状と課題
今のやり方見積・図面はメール添付で送付。版の管理は担当者ごと。
困っていること「最新の図面がどれか分からない」と現場から言われる(相手の言葉)。
理想の状態取引先ごとに最新の資料が1か所にまとまっていること。
3. BANT
予算(Budget)年間30万円程度(未確定)決裁者(Authority)工場長(次回同席の予定)
必要性(Need)取引先からPPAP廃止を求められている導入時期(Timeframe)2027年1月から
4. 競合・比較
比べているもの共有ドライブのリンクで済ませる案と比較中。
商材ごとの確認事項利用人数:営業5名・閲覧2名/取引先:約40社
5. 次の約束
次にすること見積書とデモ環境の案内を送る期限・担当10月7日まで・田中
次回の予定10月14日 工場長同席で説明社内メモ(相手に渡さない)確度B。決裁者の反応次第。
実際の画面:営業ヒアリングシートの「記入例」シート(ダウンロードできるExcelをそのまま表示)

記入例のなかで、書き方の目安になるところを3つ挙げます。

1つ目は「困っていること」の欄で、相手の言葉をかぎかっこで残している点です。営業が「資料管理の課題」とまとめてしまうと、あとで読んだ上司は具体的な場面が分かりません。

2つ目は、予算の欄に「年間30万円程度(未確定)」と、確度も一緒に書いている点です。数字だけを書くと、確定した予算だと受け取られることがあります。

3つ目は「次の約束」に期限と担当が入っている点です。「見積書とデモ環境の案内を送る」「10月7日まで・田中」のように、何を・いつまでに・誰が、の3つがそろっていれば、商談のあとの動きが止まりません。

このテンプレートは「記入用」「記入例」「説明」の3枚のシートに分かれていて、営業ヒアリングシートのテンプレートから無料でダウンロードできます。自社の商材で必ず確かめる項目(利用人数・設置場所など)は、「商材ごとの確認事項」の行を直して使ってください。

ヒアリングシートを使うときのコツ

ヒアリングシートは、作るより使い続けるほうが難しい書類です。現場でよく出る困りごとと、その対処をまとめます。

項目を増やしすぎない

ヒアリングシートは、項目を足していくうちに2枚、3枚と長くなりがちです。初回の商談で聞き切れる量は限られているので、1枚に収まる量を目安にし、細かい条件は案件ヒアリングシートに分けると使いやすくなります。

事前に分かることは埋めておく

会社の規模や業種、Webサイトに書いてある事業内容は、商談の前に調べて書いておきます。商談の時間を、相手にしか答えられない現状と課題に使えるからです。

相手の前で書くか、あとで書くか

相手の前でシートに書き込むのは、話をきちんと聞いているという合図にもなります。一方で、オンラインの商談では画面越しに手元が見えないので、要点だけをメモし、商談の直後にシートへ清書する人も多くいます。どちらの場合も、書くのはその日のうちが目安です。

「未確認」を次回の議題にする

聞けなかった項目は、次の商談の最初に確かめる議題にします。ヒアリングシートを毎回最新にしておけば、2回目以降の商談の準備は「未確認の欄を見る」だけで済みます。

置き場所を1か所に決める

ヒアリングシートは、営業担当のパソコンの中に散らばりやすい書類です。顧客ごとのフォルダを共有ドライブに作り、ファイル名を「顧客名_商談日」のようにそろえておくと、上司や後任の担当者が探すときに迷いません。担当替えのときにヒアリングシートが見つからないと、後任は同じことを相手に聞き直すことになり、相手にとっても負担になります。引き継ぎの進め方は営業の引き継ぎにもまとめています。

社内の確認に使う

ヒアリングシートは、上司に商談の状況を相談するときの資料にもなります。「予算は未確認、決裁者は工場長、導入時期は1月」のように、シートの欄をそのまま読み上げれば、短い時間で状況が伝わります。上司の側も、空いている欄を見れば「次は決裁者に会えるか確かめよう」と助言しやすくなります。週に1回、進行中の案件のヒアリングシートを並べて見る時間を取ると、止まっている案件にも気づきやすくなります。

自社の項目を少しずつ育てる

最初から完璧なヒアリングシートを作る必要はありません。失注した商談を振り返り、「最初に聞いておけばよかった」と思った項目を1つずつ足していくと、自社の商材に合ったシートになっていきます。逆に、毎回空欄のままの項目は、本当に要るかを見直す候補です。

商談の記録と分けて使う

ヒアリングシートは相手の状況を整理するもの、商談記録は1回ごとの商談で話したことと決まったことを残すもの、と分けると、どちらも書きやすくなります。商談記録には商談記録シートのテンプレートが使えます。

ヒアリングシートの内容で資料を送ったあとに

ヒアリングシートで課題と条件が分かったら、次は提案書や見積書を送る段階です。一般には、商談のあとにメールで資料を添付して送り、数日後に電話やメールで「ご覧いただけましたか」と確かめる流れがよく使われています。

このとき、相手が資料を開いたかどうか、どのページで止まっているかが分かると、次の連絡の中身が変わります。料金のページを何度も見ているなら予算の話を、事例のページで止まっているなら同業の事例の話を、という具合です。ヒアリングシートで「未確認」にした決裁者が資料を開いていれば、社内で回覧が始まった合図とも読めます。

ルームフクロウは、顧客ごとの専用ルームで資料を渡すサービスです。ルームのURLを送ると、相手はメールアドレスを入れるだけで開けます(会員登録やアプリは要りません)。誰が・いつ・どの資料の・どのページまで見たか、ダウンロードしたかが、顧客の詳細の画面に残ります。

顧客の詳細の画面。最終閲覧・直近7日の訪問・閲覧した資料・未閲覧の資料
実際の画面:顧客の詳細。開いた日時・訪問回数・未閲覧の資料が分かる

ヒアリングシートで聞いた内容と、送った資料がどう読まれたかを並べて見ると、次の商談で何を話すかを決めやすくなります。ルームのメッセージで顧客と質問・回答もできるので、ヒアリングの続きをルームの中で進めることもできます。商談のあとのフォローの流れは商談後のフォローにもまとめています。

ヒアリングシートのよくある質問

ヒアリングシートとは何ですか?

顧客の状況・課題・条件を聞き取るための質問の一覧です。営業では、商談の場で聞き漏れを防ぎ、聞いた内容をチームで共有するために使います。

ヒアリングシートにはどんな項目を入れればよいですか?

営業用なら、基本情報・現状と課題・BANT(予算・決裁者・必要性・導入時期)・競合・次の約束の5つの塊が基本です。自社の商材で必ず確かめる項目を足して使います。

ヒアリングシートは相手に記入してもらってもよいですか?

事前ヒアリングシートとして相手に記入してもらう使い方もあります。その場合は項目を5〜8問程度に絞り、見込みの判断など社内向けの欄は別のシートに分けてください。

BANTは初回の商談で全部聞くべきですか?

全部を聞き切る必要はありません。分からなかった項目は「未確認」と書いておき、次の商談で確かめます。課題を聞いたあとに予算や決裁者を聞くと、話が自然につながります。

ヒアリングシートのまとめ

営業のヒアリングシートは、基本情報・現状と課題・BANT・競合・次の約束の5つを、聞く順番に並べた1枚です。

  • 現状と課題を先に聞き、予算や決裁者はそのあとに確かめる
  • 相手の言葉はそのまま書き、分からない項目は「未確認」と書いて次回に聞く
  • 最後に「何を・いつまでに・誰がするか」を決めて、次の約束の欄を埋める

すでに自社のシートがある場合は、この5つの塊と見比べて、足りない欄だけを足すのが早い進め方です。ゼロから作る場合は、営業ヒアリングシートのテンプレートを自社の商材に合わせて直して使ってください。ヒアリングのあとに作る提案書の組み立て方は、提案書の書き方で説明しています。

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