見積・請求の書類·公開 2026年10月3日·FUKULO(合同会社商陣)

発注書と注文書の違い|注文請書・印紙・保存期間まで整理

発注書と注文書は、法律上は同じ役割の書類で、どちらの名前を使っても構いません。「頼む側が、この条件で頼みますと伝える書類」という点は同じで、違いは業界や会社の慣習による呼び方だけです。気をつけたいのは名前よりも書き方で、見積書の番号を書くかどうかや注文請書の扱いで、印紙税がかかるかどうかが変わることがあります。

目次
  1. 発注書と注文書の違い|法律上は同じ書類
  2. 発注書と注文書の使い分け|業界や会社の慣習
  3. 発注書(注文書)と見積書・注文請書の関係
  4. 発注書(注文書)に書く項目と記入例
  5. 発注書と注文請書|請書が要る場面
  6. 発注書・注文書の印紙税と保存期間
  7. 発注書が届く前に|見積書を送ったあと
  8. 発注書と注文書の違いのよくある質問
  9. 発注書と注文書の違いのまとめ

発注書と注文書の違い|法律上は同じ書類

発注書と注文書の違いは、法律上はありません。どちらも、商品やサービスを頼む側が「この内容・数量・金額・納期で頼みます」と相手に伝える書類です。民法の言葉でいえば、契約の「申込み」を書面にしたものにあたります。

どちらの名前を使うかは会社の自由で、同じ会社の中でも取引先によって呼び方が違うことがあります。受け取る側から見ても、表題が「発注書」でも「注文書」でも扱いは変わりません。英語ではどちらも「purchase order(PO)」と呼ばれます。

ポイントはここです。発注書と注文書の違いを気にするより、書いてある中身が見積書と合っているか、契約の成立をどう確かめるかを見るほうが、取引のトラブルを防ぐうえで役に立ちます。

発注書・注文書と契約書の違い

発注書・注文書と契約書の違いは、片方が出すか、両方が合意して作るかです。発注書は頼む側が一方的に出す申込みの書類で、契約書は両方の当事者が内容に合意したことを示す書類です。契約書には、代金や納期のほか、検収の方法、不具合があったときの扱い、損害賠償、解除の条件など、取引全体の決まりを書くのが一般的です。継続的な取引では、最初に基本契約書を結び、個々の取引は発注書と注文請書で行う形がよく取られています。

発注書と注文書の使い分け|業界や会社の慣習

発注書と注文書は、慣習として次のように使い分けられることがあります。ただし決まりではなく、逆の使い方をしている会社も珍しくありません。

呼び方よく使われる場面例
発注書仕事や作業を外部に頼む(外注・委託・工事)部品の加工、システム開発、設計、清掃の委託
注文書完成した品物を買う部材・消耗品・既製品の購入
注文書・発注書のどちらも製造業・卸売業など会社の購買規程で名前を決めていることが多い

自社がどちらを使うか迷う場合は、相手の業界でよく使われる呼び方に合わせるか、社内の書類で1つに決めておくと混乱しません。大事なのは、同じ会社の中で「発注書」と「注文書」が別の書類だと誤解されないことです。

発注書・注文書と「申込書」「依頼書」

発注書と注文書のほかに、「申込書」「依頼書」「注文票」という表題の書類もあります。これらも、頼む側が申し込む書類という点では同じ役割です。印紙税の扱いでも、表題ではなく書いてある内容で判断されます(後の節で説明します)。

発注書(注文書)と見積書・注文請書の関係

発注書は、一般に見積書を受け取ったあとに出し、相手がそれを受ける「注文請書(発注請書)」で取引が確定します。書類の流れを並べると次のとおりです。

  1. 見積書受ける側が出す。金額と条件を示す
  2. 発注書(注文書)頼む側が出す。この条件で頼むと申し込む
  3. 注文請書(発注請書)受ける側が出す。注文を受けたことを示す
  4. 納品書・請求書受ける側が出す。納めた内容と代金を示す
図:見積書から注文請書までの書類の流れ(頼む側と受ける側)

契約は、申込みに対して相手が承諾したときに成立します(民法第522条)。同じ条で、契約の成立には法令に特別の定めがある場合を除き書面は要らないとされています。つまり、口頭やメールでの発注でも契約自体は成立します。それでも発注書を出すのは、何をいくらで頼んだかを後から確かめられる形で残すためです。

注文請書は、「その注文を受けました」という承諾を書面で示すものです。発注書と注文請書がそろうと、申込みと承諾の両方が書面に残り、契約書を交わしたのと近い状態になります。小さな取引では請書を省き、メールでの「承知しました」の返信で済ませることも多くあります。

見積書と請求書の違いは見積書と請求書の違いの記事で比べています。

発注書(注文書)に書く項目と記入例

発注書の書き方にも、法律で決まった様式はありません。一般には次の項目を載せている会社が多くあります。

項目書くこと
宛名・発行者受ける側の社名と、自社の社名・担当者・連絡先
発注番号・発注日社内で探すための番号と、出した日
品名・仕様・数量・単価・金額見積書と同じ品名と型番、図面の版
合計金額・消費税税込か税抜かを明記する
納期・納品場所いつ、どこに納めてもらうか
支払条件締め日・支払日・支払方法
備考検査の方法、注文請書を求めるかどうか など
発注書
株式会社サンプル商事 御中
発注番号:PO-2026-0381 発注日:2026年10月20日
下記のとおり発注いたします。
件名:ステンレス架台の製作・据付
品名:ステンレス架台 SUS304 W900(図面No.A-102 第2版) 数量:4台
合計金額:324,940円(税込)
納期:2026年11月13日 納品場所:弊社 第二工場
支払条件:月末締め翌月末払い(銀行振込)
備考:本発注に対し、注文請書をご提出ください。
株式会社山田製作所 購買部 山田 一郎
発注書の本文の例(株式会社山田製作所から株式会社サンプル商事へ)

発注書の品名や金額は、受け取った見積書と一字一句そろえるのが基本です。見積書と違う数量や単価で発注する場合は、事前に相手と話しておき、備考に「お見積書から数量を変更」と書いておくと、相手が受ける前に気づけます。

発注書を受け取ったら確かめること

発注書を受け取る側は、受ける前に次の点を見比べておくと、納品や請求の段階での食い違いを防げます。

  1. 品名・型番・図面の版が、出した見積書と同じか
  2. 数量・単価・合計金額が見積書と合っているか(税込・税抜も含めて)
  3. 納期と納品場所が、自社で受けられるものか
  4. 支払条件が、見積書に書いた条件と同じか
  5. 注文請書を求められているか、求められているなら期限はいつか

見積書の有効期限が過ぎてから届いた発注書なら、原価や納期が変わっていないかも確かめます。期限が過ぎた見積書の扱いは見積書の有効期限の記事にまとめています。

取適法の対象になる取引

資本金の規模や取引の内容によっては、発注の内容を書面などで明示することが法律で義務づけられている場合があります。下請法は2026年1月から「中小受託取引適正化法(取適法)」に改められ、製造や修理、情報成果物の作成などを委託する場合に、発注の内容の明示が求められます。対象になるかどうかは、公正取引委員会の案内で確かめてください。

継続取引での発注書(注文書)

毎月同じ部材を買うような継続的な取引では、見積書を毎回取らずに、価格表や基本契約で決めた単価で発注書を出すことが多くあります。この場合、発注書に「2026年10月1日改定の価格表による」のように、どの単価を使ったかを書いておくと、受ける側が請求のときに迷いません。価格表の作り方は取引先向け価格表のテンプレートで紹介しています。

発注書と注文請書|請書が要る場面

発注書に対して注文請書を出すかどうかは、取引の大きさと業界の慣習で決まります。一般には、次のような場面で注文請書を交わすことが多くあります。

  • 工事や製作など、金額が大きく、納めるまでに時間がかかる取引
  • 契約書を別に作らず、発注書と請書で契約の内容を残したい取引
  • 相手の購買規程で、請書の提出が決まっている取引

反対に、消耗品の購入や、継続的な取引で基本契約を結んでいる場合は、請書を省くことも多くあります。請書を出さない場合でも、発注書を受け取ったら「発注書を受領しました。納期は11月13日で承知しました」と返信しておくと、承諾したことが記録に残ります。

注文請書に書く項目

注文請書には、どの発注を受けたのかが分かる情報を書きます。一般には、発注書の発注番号と発注日、件名、品名と数量、合計金額、納期、そして「上記のとおりお請けいたします」という一文を入れる形が多く見られます。発注書の内容をそのまま写し、表題と差出人を入れ替えた形にすると、両方を並べたときに照合しやすくなります。

注文請書を出すと決まっている取引では、次の節の印紙税にも気をつけます。

発注書・注文書の印紙税と保存期間

発注書と注文書は、一般に印紙税はかかりません。契約は申込みと承諾で成立するので、申込みだけを書いた書類は契約書にあたらないためです。

発注書に印紙が要ることがある書き方

ただし、表題が発注書や注文書でも、書いてある内容によっては契約書として扱われることがあります。国税庁の質疑応答では、次の2つが一般に契約書にあたる例として挙げられています。

  1. 基本契約書や約款に基づく申込みであることが書かれていて、その申込みで自動的に契約が成立することになっているもの
  2. 見積書など、相手が作った書類に基づく申込みであることが書かれているもの(見積書の番号が書かれている場合も含む)

どちらも、相手が別に注文請書など契約の成立を証明する書類を作ることが書かれている場合は除かれます。例えば、発注書に「お見積書 Q-2026-0142 のとおり発注します」と書き、請書について何も書かなければ、その発注書は契約書として扱われ、取引が工事などの請負であれば第2号文書(請負に関する契約書)として印紙税の対象になりえます。詳しくは国税庁の申込書等と表示された文書の取扱いで確かめられます。

注文請書の印紙税

注文請書は、注文を受けたことを示す文書なので、取引の内容によっては契約書として印紙税がかかります。工事・製作・修理などの請負に関する注文請書は第2号文書にあたり、記載金額が1万円未満なら非課税、1万円以上100万円以下なら200円、と金額に応じて税額が決まっています。既製品の売買だけを内容とする請書は、一般に請負には含まれません。判断に迷う場合は、国税庁の請負に関する契約書の案内か、税務署に確かめてください。

PDFで送る発注書・注文請書と印紙

印紙税は、紙の文書を作成したときにかかる税金です。そのため、発注書や注文請書を紙に印刷せず、PDFにしてメールで送るだけの場合は、一般に印紙を貼る対象にならないとされています。ただし、PDFを送ったあとに同じ内容の紙の原本を郵送する場合は、紙の側が課税の対象になりえます。書類を電子で交わす取引に切り替えるときは、どちらを正本にするかを相手と決めておくと迷いません。

発注書・注文書の保存期間

発注書・注文書は、取引に関する書類として保存の対象です。法人の場合、受け取った注文書や自社が出した注文書の写しは、一般に7年間(欠損金が出た事業年度は10年間)保存します。国税庁の帳簿書類等の保存期間にも、保存する書類の例として注文書が挙げられています。

発注書が届く前に|見積書を送ったあと

発注書は、見積書を受け取った相手が発注を決めたときに届きます。受ける側から見ると、見積書を送ってから発注書が届くまでの間が、いちばん相手の様子が分かりにくい時間です。一般には、数日おきに電話やメールで「ご検討の状況はいかがでしょうか」と確かめる方法が取られています。

見積書を顧客ごとの専用ルームで渡すと、この間の相手の動きが見えるようになります。ルームフクロウでは、相手はURLを開いてメールアドレスを入れるだけで見積書を見られ、送った側には、誰が・いつ・どの資料の・どのページまで見たか、ダウンロードしたかが記録に残ります。

顧客の詳細の画面。最終閲覧・直近7日の訪問・閲覧した資料・未閲覧の資料
実際の画面:顧客の詳細。開いた日時・訪問回数・未閲覧の資料が分かる

見積書がダウンロードされていれば、発注書を作るために社内で回しているのかもしれません。ルームのメッセージで「発注書の宛先や請書の要否でご不明な点があればお知らせください」と送っておけば、質問がその場で返ってきます。見積を出し直したときは、ルームの資料を新しい版に差し替えれば、相手が古い見積番号で発注書を作る心配も減ります。

発注書と注文書の違いのよくある質問

発注書と注文書は、どちらを使えばいいですか?

法律上の違いはないので、どちらでも構いません。社内で1つに決めておくか、相手の業界でよく使われる呼び方に合わせると混乱しません。

発注書に印紙は必要ですか?

一般には不要です。ただし、見積書の番号を書いて「見積書に基づく発注」であることが分かり、注文請書を作ることが書かれていない場合などは、契約書として扱われ、取引の内容によっては印紙が必要になることがあります。

注文請書は必ず出さなければいけませんか?

法律で必ず出すと決まった書類ではありません。金額の大きい取引や、相手の購買規程で求められる場合に出すのが一般的です。出さない場合も、発注書を受け取った旨をメールで返しておくと記録に残ります。

発注書・注文書の保存期間は何年ですか?

法人の場合、取引に関する書類として一般に7年間(欠損金が出た事業年度は10年間)保存します。

発注書と注文書の違いのまとめ

発注書と注文書は、法律上は同じ役割の書類で、呼び方の違いは業界や会社の慣習によるものです。

  • 発注書(注文書)は、頼む側が「この条件で頼みます」と申し込む書類
  • 注文請書がそろうと、申込みと承諾が書面に残り、契約の内容を確かめやすくなる
  • 発注書は一般に印紙が不要だが、見積番号の記載などで契約書として扱われることがある
  • 請負に関する注文請書は第2号文書として印紙税の対象になりうる。保存は法人なら一般に7年

発注書の品名や金額は、見積書と同じ書き方にそろえるのが基本です。見積書の側の書き方は見積書の書き方の記事と、無料の内訳つき見積書のテンプレートで確かめられます。

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