見積・請求の書類·公開 2026年10月20日·FUKULO(合同会社商陣)

取適法の発注書|4条の記載事項11項目と記入例、無料Excelテンプレート

取適法の発注書は、製造や運送、ソフトウェア開発などを中小企業に委託するときに、発注の内容を相手に明示するための書面です。名前は発注書でも注文書でも構いませんが、4条で決められた11項目を漏れなく書き、発注したらすぐに渡す必要があります。この記事では、11項目の書き方と記入例、メールで送るときの扱い、決まっていない事項の書き方を順に紹介します。

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目次
  1. 取適法の発注書とは|4条で明示を求められる書面
  2. 取適法の発注書が必要な取引|対象と対象外
  3. 取適法の発注書の記載事項|4条の11項目
  4. 取適法の発注書の書き方と記入例
  5. 取適法の発注書を出すタイミング|メール・未定事項
  6. 取適法の発注書と支払期日・保存期間
  7. 取適法の発注書を送ったあとに
  8. 取適法の発注書のよくある質問
  9. 取適法の発注書のまとめ

取適法の発注書とは|4条で明示を求められる書面

取適法の発注書とは、取適法の対象になる取引で、委託する側が発注の内容を相手に明示するための書面です。取適法は2026年1月1日に施行された法律で、それまでの下請法を改正し、名前を改めたものです。正式な名前は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」で、略して中小受託取引適正化法、通称が取適法です。

改正にあわせて、言葉も変わりました。下請法の「親事業者」は「委託事業者」に、「下請事業者」は「中小受託事業者」になっています。下請法のころに「3条書面」と呼ばれていた発注の書面は、取適法では4条に移り、「4条書面」「4条明示」と呼ばれることが増えました。

一般には、発注書の形は会社ごとにさまざまで、表題も「発注書」「注文書」「発注書兼注文書」などが使われています。取適法は表題を決めていません。大事なのは中身で、4条に挙げられた事項がすべて書かれているかどうかです。

ポイントはここです。取適法の発注書は、ふだん使っている発注書に足りない欄を足せば作れます。新しい書類を一から作る必要はありません。今の様式と4条の11項目を見比べて、抜けている欄を足すのがいちばん早い方法です。

発注書と注文書の呼び方の違いや、注文請書との関係は発注書と注文書の違いの記事で整理しています。この記事では、取適法の対象になる取引の発注書に絞って書きます。

取適法の発注書が必要な取引|対象と対象外

取適法の発注書が必要になるかどうかは、取引の内容と、両者の資本金または従業員数の組み合わせで決まります。取引の内容は次の5つです。

  • 製造委託(部品の加工、製品の製造、型の製作など)
  • 修理委託(自社で請けた修理や、自社で使う物の修理を外に出す)
  • 特定運送委託(製造や販売した物を相手に届ける運送を外に出す)
  • 情報成果物作成委託(ソフトウェア、デザイン、設計図、映像などの作成)
  • 役務提供委託(運送、倉庫での保管、情報処理などのサービスを外に出す)

特定運送委託は、今回の改正で新しく加わった取引です。たとえば、メーカーが製品を取引先に届ける運送を運送会社に頼む場合が当たります。

取適法の資本金と従業員数の基準

取適法の発注書が要るかは、次の基準のどれかに当てはまるかで判断します。公正取引委員会のリーフレットでは、取引の内容によって2つの区分に分けています。

取引の内容委託事業者中小受託事業者
製造委託・修理委託・特定運送委託、情報成果物作成委託と役務提供委託のうちプログラム作成・運送・倉庫での保管・情報処理資本金3億円超資本金3億円以下
同上資本金1千万円超3億円以下資本金1千万円以下
同上従業員300人超従業員300人以下
上記以外の情報成果物作成委託・役務提供委託資本金5千万円超資本金5千万円以下
同上資本金1千万円超5千万円以下資本金1千万円以下
同上従業員100人超従業員100人以下

従業員数の基準は、今回の改正で加わりました。資本金が小さくても従業員の多い会社は、委託事業者として取適法の発注書が必要になることがあります。自社が当てはまるか迷う場合は、公正取引委員会の取適法のページで確かめてください。

建設工事の請負は取適法の対象外

建設工事の下請負(建設工事の再委託)には、取適法は適用されません。建設業者どうしの工事の下請は、建設業法の対象です。建設業法では、注文書と注文請書などで契約の内容を書面にして交わすことが求められていて、書く事項も取適法とは違います。

ただし、建設業者の取引でも、工事の下請負ではない取引は取適法の対象になることがあります。公正取引委員会のよくある質問でも、建設工事の再委託は対象外とする一方で、それ以外の取引は対象になりうると説明されています。工事の注文書と請書の書き方は、別の記事で紹介する予定です。

取適法の発注書の記載事項|4条の11項目

取適法の発注書に書く事項は、4条で次の11項目と決められています。公正取引委員会の「委託事業者の義務」のページに沿って、書くことを並べると次のとおりです。

番号記載事項書くことの例
1委託事業者と中小受託事業者の名称両社の社名。番号や記号でもよい
2委託をした日発注した日
3給付の内容品名・仕様・数量。役務なら提供される役務の内容
4給付を受領する期日納期。役務なら提供を受ける期日または期間
5給付を受領する場所納品場所。役務なら提供を受ける場所
6検査を完了する期日検査をする場合だけ
7代金の額金額。算定方法で示すこともできる
8代金の支払期日受領日から60日以内の日
9一括決済方式で払う場合金融機関名、額、期間の始期、決済日
10電子記録債権で払う場合額、期間の始期、満期日
11原材料などを有償で支給する場合品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日、決済方法

9から11は、その支払い方や支給をする場合だけ書く項目です。現金(銀行振込)で払い、材料を支給しない発注なら、1から8を書けば足ります。ただ、様式には欄を残しておき、「該当なし」と書いておくと、相手も自社の担当者も書き忘れと区別できます。

取適法の発注書で漏れやすい項目

取適法の発注書で漏れやすいのは、2の委託をした日、6の検査を完了する期日、8の代金の支払期日の3つです。ふだんの発注書には「発行日」と「納期」はあっても、検査の期日や支払期日の欄が無いことがよくあります。

検査完了の期日は、検査をする取引では必ず書きます。「受入検査は納品後7日以内に完了」のように、日付が決まる書き方にします。支払期日も「月末締め翌月末払い」のような書き方で日付が決まるなら構いませんが、受領日から60日を超えない日になっているかを確かめておきます。

取適法の発注書の名称は記号でもよい

取適法の発注書では、両社の名称を番号や記号で書いても構いません。社内のシステムで取引先コードを使っている場合は、それでも足ります。ただし、EDI(受発注のデータをやりとりする仕組み)などで記号を使うときは注意が要ります。その記号が何を意味するかを、あらかじめ書面かメールなどで相手に伝えておく必要があると、公正取引委員会のよくある質問で説明されています。

取適法の発注書の書き方と記入例

取適法の発注書は、11項目を上から順に埋めていけば書けます。ここでは、株式会社山田製作所(委託事業者)が、株式会社サンプル商事(中小受託事業者)に部品の加工を頼む例で書いてみます。社名と金額・日付は例です。

発注書
株式会社サンプル商事 御中
発注番号:PO-2026-0412
委託をした日:2026年10月20日
委託事業者:株式会社山田製作所 購買部 山田 一郎
下記のとおり発注いたします。
給付の内容:アルミ製ブラケットの切削加工(図面No.B-215 第3版) 数量:200個
給付を受領する期日:2026年11月10日
給付を受領する場所:弊社 第一工場 受入口
検査を完了する期日:2026年11月17日
代金の額:例 440,000円(税込)
代金の支払期日:2026年12月10日(銀行振込)
一括決済方式:該当なし 電子記録債権:該当なし
有償支給:アルミ板 A5052 t10 20枚/対価 例 44,000円(税込)/引渡し 2026年10月27日/決済期日 2026年12月10日/代金から差し引き
取適法の発注書の記入例(部品の加工を委託する場合。金額・日付は例)

この例では、受領する期日(11月10日)から支払期日(12月10日)までが30日なので、60日以内に収まっています。有償支給の材料の対価は、代金の支払日と同じ日に差し引く形にしています。

取適法の発注書を無料のExcelで作る

取適法の発注書は、4条の11項目の欄をすべて持った様式を1つ用意しておくと、毎回の抜けを防げます。下のテンプレートは、記入用と記入例のシートに加えて、11項目に「済」を入れていく「4条の明示事項チェック表」を付けています。建設工事の請負は対象外であることも、説明のシートに書いています。

取適法対応の発注書(無料Excel)記入用・記入例・明示事項チェック・説明の4シート
発注書
株式会社サンプル商事 御中発注番号PO-2026-0412
営業部 田中 太郎 様委託をした日2026年10月20日
下記のとおり発注いたします。委託事業者株式会社山田製作所
担当・連絡先購買部 山田 一郎(TEL 000-000-0000)
1. 給付の内容
代金の額(税込)¥440,000
No.品名・内容数量単位単価金額備考
1アルミ製ブラケットの切削加工(図面No.B-215 第3版)200個2,000400,000A5052
2
3
(空欄があと5行つづきます)
小計400,000
消費税(10%)40,000
代金の額¥440,000
2. 受領・検査・支払の条件
給付を受領する期日2026年11月10日
給付を受領する場所弊社 第一工場 受入口
検査を完了する期日2026年11月17日
代金の支払期日2026年12月10日

(この下に7行あります。全体はダウンロードしたExcelで見られます)

実際の画面:取適法対応の発注書の「記入例」シート(ダウンロードできるExcelをそのまま表示)

チェック表は、発注書を出す前に担当者が自分で確かめる使い方を想定しています。上司が承認するときに、チェック表と発注書を並べて見ると、どの項目が該当なしなのかもすぐに分かります。

取適法の発注書で代金の額を書くとき

取適法の発注書の代金の額は、具体的な金額で書くのが基本です。具体的な金額を書けない事情があるときは、金額が決まる算定方法を書く方法もあります。公正取引委員会のよくある質問では、算定方法として認められるのは、役務の種類と量あたりの単価があらかじめ決まっている場合に限られると説明されています。

見積書の金額をそのまま使う場合は、見積書の番号と金額を発注書にも書いておくと、あとで照らし合わせやすくなります。見積書の側の書き方は見積書の書き方の記事で紹介しています。

取適法の発注書を出すタイミング|メール・未定事項

取適法の発注書は、発注したら「直ちに」相手に渡す必要があります。公正取引委員会のよくある質問では、「直ちに」は「すぐに」という意味だと説明されています。契約書を結ぶまでに日数がかかる場合でも、発注した時点で、契約書とは別に発注の内容を明示します。

急ぎの仕事を電話で頼むこともあると思います。その場合も、電話のあとすぐに発注書を渡す必要があり、電話だけで発注を済ませるのは明示の義務に反するとされています。

  1. 見積書を受け取る品名・数量・金額・納期を確かめる
  2. 発注を決める社内の承認を取り、発注番号を振る
  3. 4条の11項目を埋めるチェック表で抜けがないかを見る
  4. すぐに発注書を渡す書面か、メールなどの電磁的方法で
  5. 決まっていない事項を補う決まったらすぐに補充の明示をする
図:取適法の発注書を出すまでの流れ(委託する側から見た順番)

取適法の発注書はメールで送れる

取適法の発注書は、紙でも、メールなどの電磁的方法でも渡せます。下請法のころは、電子で渡すには相手の承諾が必要でした。取適法では、相手の承諾があるかどうかにかかわらず、電子メールなどで渡せるようになりました。

メールで送るときは、本文に11項目を書くより、発注書をPDFにして添付するほうが、相手も自社も保存しやすくなります。件名に発注番号を入れておくと、あとでメールを探すときに迷いません。

取適法の発注書で決まっていない事項があるとき

取適法の発注書を出す時点で、内容が決められない事項がある場合もあります。正当な理由があって決められないときは、その事項を書かずに発注書を出し、決まらない理由と、決める予定の期日を書いておきます。そして、内容が決まったら直ちに、その事項を書いた書面(補充の書面)を渡します。

公正取引委員会のよくある質問では、予定の期日は具体的な日が分かるように書くこと、理由は未定であることがもっともだと分かる程度に書くことが求められています。単価が決まっていない場合は、正式な単価ではないことを示せば、仮の単価を書く方法も認められています。その場合も、単価が決まったら直ちに補充の書面を渡します。

継続的な取引での取適法の発注書

毎月同じ部品を頼むような取引では、取引の共通の条件を基本契約書などに書いておく形がよく取られています。公正取引委員会のよくある質問では、契約書が必要な事項をすべて満たしていれば、個々の発注のたびに同じ事項を書き直す必要はないと説明されています。ただし、納期や数量のように発注ごとに変わる事項は、契約書だけでは足りないので、個々の発注書に書きます。

取適法の発注書と支払期日・保存期間

取適法の発注書に書く支払期日は、物を受け取った日(役務なら提供を受けた日)から数えて60日以内で、できる限り短い期間の中で決めます。検査をするかどうかに関係なく、数え始めは受け取った日です。検査に時間がかかる場合でも、検査が終わった日から数えるわけではありません。

支払期日までに代金を払わなかった場合は、受け取った日から60日を過ぎた日から、実際に払う日までの日数に応じて、年14.6%の遅延利息を払うことになります。発注した代金を発注のあとで減らした場合も、遅延利息の対象になります。

取適法で禁止される支払い方

取適法では、手形で代金を払うことが禁止されました。電子記録債権などのほかの支払い方も、支払期日までに代金の満額を受け取るのが難しいものは禁止されています。これまで手形で払っていた会社は、発注書の支払方法の欄を、銀行振込などに書き換えておく必要があります。

取適法の発注書のあとに作って残す書類

取適法では、発注書とは別に、取引の記録を書類か電磁的記録として作り、2年間保存することも求められています(7条)。記録には、受け取った給付の内容と受け取った日、検査をした場合は検査の結果、代金を払った日や払った額などを書きます。

発注書の控えに、受領日・検査の結果・支払日を書き足していく形にすると、7条の記録とまとめて管理できます。テンプレートの記入用シートも、発注書の控えとしてそのまま残せるようにしています。

取適法で禁止されているそのほかの行為

取適法では、発注書の明示とは別に、委託事業者がしてはいけない行為が11挙げられています。受領を拒むこと、支払いを遅らせること、発注のあとで代金を減らすこと、返品、買いたたき、協議に応じない一方的な代金の決定などです。協議に応じない一方的な代金の決定は、今回の改正で加わりました。発注書の書き方とあわせて、社内の購買の決まりも見直しておくと安心です。

取適法の発注書を送ったあとに

取適法の発注書を送ったあと、相手がいつ発注書を開いたかは、メールだけでは分かりにくいものです。一般には、発注書を送ったら電話で「届いていますか」と確かめたり、注文請書や受領の返信を求めたりする方法が取られています。図面や仕様書が多い発注では、どの版の図面を見て作るのかを確かめる手間もかかります。

発注書はいつもどおりメールで送り、図面や仕様書、改訂した資料を取引先ごとの専用ルームで渡す方法もあります。ルームフクロウでは、相手はURLを開いてメールアドレスを入れるだけで資料を見られ、送った側には、誰が・いつ・どの資料の・どのページまで見たか、ダウンロードしたかが記録に残ります。

顧客の詳細の画面。最終閲覧・直近7日の訪問・閲覧した資料・未閲覧の資料
実際の画面:顧客の詳細。開いた日時・訪問回数・未閲覧の資料が分かる

図面を新しい版に差し替えると、ルームには最新版が出て「更新」の印が付きます。古い版の図面で加工が進む心配が減り、取引先からの質問もルームのメッセージで受けられます。

取適法の発注書のよくある質問

取適法の発注書は、表題が「注文書」でも構いませんか?

構いません。取適法は表題を決めていないので、発注書・注文書のどちらでも、4条の11項目がすべて書かれていれば足ります。

取適法の発注書をメールで送るのに、相手の承諾は要りますか?

取適法では、相手の承諾があるかどうかにかかわらず、電子メールなどの電磁的方法で渡せるようになりました。PDFを添付して送ると保存しやすくなります。

電話で急ぎの発注をしたときも、発注書は要りますか?

要ります。電話のあとすぐに発注書を渡す必要があり、電話だけで済ませると明示の義務に反するとされています。

建設工事の下請にも取適法の発注書が要りますか?

建設工事の下請負には取適法は適用されず、建設業法の対象になります。建設業法で決められた事項を書いた注文書と請書などを交わします。

取適法の発注書は何年保存しますか?

取適法では、取引の記録を作って2年間保存することが求められています。税法上の保存期間は別に決まっているので、あわせて確かめてください。

取適法の発注書のまとめ

取適法の発注書は、製造や運送、ソフトウェア開発などを中小企業に委託するときに、発注の内容を明示する書面です。

  • 表題は自由。4条の11項目がすべて書かれているかで判断する
  • 漏れやすいのは、委託をした日・検査を完了する期日・代金の支払期日
  • 発注したら直ちに渡す。メールでの交付は相手の承諾が無くてもよい
  • 決まっていない事項は、理由と予定の期日を書き、決まったらすぐに補充する
  • 支払期日は受領日から60日以内。取引の記録は2年間保存する
  • 建設工事の下請負は取適法ではなく建設業法の対象

今の発注書の様式と11項目を見比べて、足りない欄を足すところから始めると、手間をかけずに取適法の発注書に切り替えられます。

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